月別アーカイブ: 2013年4月

自作CNC組み立て動画

こちらの記事ではまだ組立工程の全てを紹介していませんが、ステッピングモータをコントローラ基板につないで各軸の動作テストまでの動画を作成しました。YouTubeにアップしましたので、よろしければご覧下さい。2分46秒でフレームの組立からステッピングモータの動作テストまでを見れます。20倍速です。

自作CNCの設計

順序が逆になりますが今回製作しているCNCフライスの設計方針と方法を紹介したいと思います。CNCは4年前に寿貿易のFM100というフライス盤をCNCに改造した事が始まりでした。このCNCではZ軸のバックラッシュが大きすぎてかなり不満のある物でしたが、それなりに活躍しました。現在このフライス盤はCNC用のステッピングモータを取り外して普通のフライス盤、ボール盤として活躍しています。次にオリジナルマインドのCOBRAを購入しました。これは2年間使いました。かなり酷使しました。MDF、アクリル、アルミ、真鍮の切削が中心でしたが、SS400の切削に手を出した所でこの機種の限界が見えて来ました。1つはボールネジを組み込めない。もう一つはスピンドルのパワー不足です。小さい加工に手を出したいと思い始め精度を上げる必要が出て来ました。そのためにはボールネジです。Y軸はなんとか工夫すればボールネジを入れられそうでしたが、X軸、Z軸にボールネジを入れる隙間がありません。ナットが大きいため入りそうにありません。もう1つのスピンドルのパワー不足はSS400にドリルで穴あけをする時に問題になってきました。というわけでCOBRAのパワーアップは諦め、新規にゼロから作成する事にしました。
Rhinoceros
設計はRhinocerosで行いました。最初はRhinocerosの練習のつもりではじめたのですがやっているうちにかなり本気になって来て作る事になってました。
既存のフライス盤を購入してCNCに改造する事も考えましたが、搬入を考えてやめました。私は1人で製作をしているので搬入の絶対条件が「1人で運べる」という事です。ある程度の剛性のあるフライス盤を購入しようとすると重量は100kgを超えます。それを1人で搬入するには無理があります。完全自作であれば設置場所で組み立ててられます。これは大きなアドバンテージです。ということでCNCフライス盤の完全自作を決断しました。
今回スピンドル部分はモータとスピンドルが一体になった完成品を使っています。スピンドルまで自作するにはハードルが高かったので既製品を手に入れて済ませました。イタリア製のモーター一体型スピンドルでキデッジというネットショップで購入しました(今は取扱が無いようです)。
ボールネジは「NSKが良いよ」と時計士の浅岡肇さんからTwitterでアドバイスを頂き、NSKに決定。購入先は地元の部品屋さんに依頼しました。NSKのwebページで取扱店のリストから近所のお店を探して電話して、営業担当の方に連絡を取り見積もりを出してもらいました。c3級のボールネジを3本発注しましたが、「個人の方でこの発注は初めてです」と言われました。
そんなこんなで部品はそろっていきました。リニアガイドはオリジナルマインドで取り扱っているCPC製を使っています。Z軸だけNB製です。オリジナルマインドさんでは現在はCPC製のリニアガイドは取り扱って無いようです。
ボールネジ、リニアガイド、スピンドルが揃ったところで設計にかかりました。門型、コラム型と検討しました。私の使い方ではたまに大きな切削をすることもあるのでストロークはX軸、Y軸方向に300mm程度、Z軸のストロークは50mmもあれば十分。設置面積は奥行き1m、幅も1m弱。ということでCOBRAと同じ門型にしました。
フライスのフレームになる部分は全てSS400。重量の点からアルミにしたほうがステッピングモータの負担を軽くできるかとも思いましたが、今回は剛性と重量を優先して全てSS400にしました。SS400は自分では加工できないので外注で作成してもらいました。この業者選びも4社に見積もり依頼を出して、さらに値下げ交渉をして決定しました。結局、ボールネジを購入した所を通して発注しました。
設計段階で確定した部品は以下の通りです。
NB製リニアガイド SEB15AUU2-190 2本
CPC製リニアガイド HR15FNB-520 4本
NSKボールネジ USS1005N1D0221 1本
NSKボールネジ USS1005N1D0521 2本
NSKサポートユニット NSK WBK08-01B 3個
NSKサポートユニットNSK WBK08S-01B 3個
高速スピンドルモーター330W-18000rpm 1個

この部品に合わせて門型のCNCフライス盤の設計を開始し、全体の構造は次の図のようになりました。
組立図全体

各部の組立図は次の通りX軸組立図 Y軸組立図 Z軸組立図
手書きでネジの寸法が書いてあります。分かりにくいところもあるかと思いますが、こんな感じ。

X軸とテーブルの平行調整

テーブルとX軸の平行をチェックしながらX軸のリニアガイドを固定します。まずテーブルの上に基準となる板を敷きます。この板は2面ロータリー仕上げのSS400の板です。誤差は0.01mmらしいのでこれを基準に調整を行います。ガラス板を使う場合もありますが、ガラス板ってものによってはかなりの歪みがあったりもします。
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CNCフライス盤用 防音・防塵ボックス

私の作業環境は普通の家の一部屋です。部屋には旋盤やボール盤など電動工具が揃ってますが床はフローリングという普通の部屋です。そこでむき出しでCNCフライス盤を使うのは気が引けます。また家族もいますので音の面でも遠慮なく使うには防音対策が必要となります。そこでCNCフライスを防音ボックスに入れます。今まで使っていたCNCフライス(オリジナルマインドCOBRA)は重量が40kg程度でしたので防音ボックスに「よいっしょ!」と入れて使ってました。今度のCNCフライスは重量が120kg、さすがに完成後に異動ができません。そこで防音ボックスを組み立て式にしてCNCフライス盤が完成した後に防音ボックスで囲むという方法にします。
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CNCフライス 平行ピン

今回の自作CNCフライスではスピンドル、Z軸、Y軸、角度の微調整が出来る様に設計してあります。X軸は構造上角度の微調整が難しかったので平行ピンを使って精度を出したいと思います。サイドフレームに平行ピンを打ち込む穴を設けて平行ピンを圧入します。組み立て時にこの平行ピンを基準に精度を出そうという計画です。
平行ピンはφ8mmのS45C生材 A種m6・プラス公差という物を使いました。購入はこちらから。
平行ピン 万力を使った圧入 続きを読む